さて、次に変速域のことを考えてみましょう。
上の図は6000rpm、下の図は7000rpmで変速している場合の
回転数と車速の関係です。
よく、「パワーバンド内で変速させる」と言いますが
この2つの図を比べてみると低速から高速までの変化で
回転数はどのようになっているかを見てみると
下の図の方が7000rpm付近を使っている速度域が多いのが
よくわかると思います。

このマシンの場合、上のセッティングだと7000rpm付近は
70Km/hあたりでやっとパワーバンドに入り、
そのままその回転域を通り過ぎていくことが判ります。
一方下の図では、20Km/hを越えたところから70Km/hまで
ずっと7000rpmを保っていることが判ります。

つまり、実際の走行に置いて、変速することによって
広い速度域でパワーバンド内に収まるというわけです。
上記のように
仮に、このエンジンが7000rpmがベストの回転数だとすれば
おいしい速度域は左図から見て25〜70Km/hに確定します。
これは、セッティングの考え方とはちょっと逆なんですが
実は「ベストの回転域が確定している」場合は、
既に速度域は決定してしまっているのです。

とすると、ベストセッティングの前後で
「加速優先」とか「最高速優先」は理論的には存在しない
ということになります。
どんなコースであっても、他のパーツを変更しない限り
ウェイトローラーの重量は変わりません。
例えば、1周の走行で網掛け部分が使用範囲のコースで
このセッティングはどうなんだろうと考えた場合、
アベレージが低いのだから回転数を上げた方がいいのか?
それとも、
変速しきらないから、ウェイトを重くしてやった方がいいのか?

これは、どちらも間違いであることは判ると思います。
どちらの方法を使っても、パワーバンドを使う速度域が
狭くなってしまうからです。
では、このようなサーキットの場合どうでしょうか?
高速サーキットですね。
エンジンの回転数と、速度の関係から見て
変速しきってから最小の減速比で8000rpm 85km/hが
必要なことが判ります。
これほどエンジンを回すのは、僕は嫌だな。。。

つまり、もう少し「最小の直線」の右上がりが緩やかだと
あまり回転数を上げずに済むような気がしませんか?
そうです。
何らかの方法でギア比を変えてやればいいことになります。

例えば、よくあるパーツではハイスピードプーリーがあります。
大抵の場合は、ワイド化されているので
ギア比が低い領域が増えています。
図で言うと上のグラフのような感じです。
スプロケットを変えた場合は、
最大ギア比も最小ギア比も変わります。
図で言うと下のグラフのような感じです。
ここで注意して欲しいのは、最小と最大の違いの割合です。
当然の事ながら、減速「比」ですから
エンジン回転数が多いほどその差は広がることになります。

例えば、FK-9の場合はオリジナルのギア比は32:48ですが
仮にここに52Tのでかいドライブスプロケットを付けると
32:52でその違いは約8%となります。

この違いは、加速感と最高速で大きく違うように感じますが
実際は想像とは違う結果になってきます。
これは、「変速域」っていうのが存在するからなんです。
この意味はもう少し先で解説しますね。
で、プーリーとスプロケットで最大・最小変速比を
右の図のように変えたとします。

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