大抵の場合、ウェイトローラーの遠心力は理解できても この後ろのプーリーはわかんないですよね。 確かに、力の掛かり方が判りにくい。 特に、減速時の変速はどうなっているのか? では。。。解説。。。。 |
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一度、クラッチ側の構造を詳しく見てみましょう。 1.2が後ろのプーリーで間にベルトが通ることになります。 3がクラッチで、4のクラッチアウターとは 3自身の遠心力で接続されます。 4.5.6は最初から接続されていますが 1.2.3は5.6の軸間でフリーに回転できます (クラッチミートまで) さらに、1.3は最初から接続されていますが 2はピンと溝の制限はありますがスプリングで押しつけられているだけです。 |
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乱暴に書くと、各部品群で固定されているパーツは 左のように3つに分かれるわけです。 最初に動力が伝わるのは グリーンの後方プーリーの片側とクラッチ本体で 次にクラッチミートしたときにブルーのクラッチアウターとギア群 赤の後方プーリー片側は スプリングによって押しつけられているだけと言っても良いんです。 ピンと溝の範囲であれば、赤の部分は自由に動けます。 それを妨げている物は、ベルトの摩擦・・・ つまりセンタースプリングの強さと、 そのスプリング自体の摩擦です。 (スプリングの捻れを考えると、それ自体はとても小さいですが) |
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走りはじめて。。。つまり、クラッチがミートした状態になったら グリーンの部品群とブルーの部品群は1つの部品として考えても さほど影響はありません。 赤のパーツがスプリングで押しつけられているだけ、の状態です。 上は初期状態、つまり低速状態で、下は変速後の高速状態です。 茶色の部分はベルトの位置です。 前のプーリーが閉じていき、ベルトが上がっていくと その分長さが足りなくなるので、 こちらのプーリー側では内側に入って 円周の小さいところを通らざるを得なくなります。 これは、ただ単純に 前のプーリーがベルトを移動させる力 (遠心力) VS 後ろのプーリーがベルトを移動させる力 (スプリングの圧縮) と考えた場合の話です。 |
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この溝に注目して下さい。 ピンがはまっています(赤丸)よね? これが、下側のプーリーから伸びている軸に刺さっていて 上側のプーリーの移動のガイドとなっています。 もし、上の説明だけの構造だったら こんなものいらないですよね? ただ単に 真っ直ぐにしておけばいいのですから・・・ |
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Aの軸に沿ってBが動くわけですが この写真の状態(開いている・・・高速状態)から 閉じる(低速状態)場合は、B側だけが動き 前方に回転しながら閉じていくのです。 AとBの間にはベルトが通っていますが、 もしAを矢印方向に回そうとする力よりも Bを矢印方向に回そうとする力が大きかったら・・・ そう。。。BはA側に移動せざるを得ないですよね? |
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ベルトはコンプレッションスプリングによって押しつけられる摩擦力で 表面から駆動力を伝えています。 ベルトの接している面、青側と赤側で 双方の材質などに変わりがない場合は、摩擦力は変わりません。 つまり、コンプレッションスプリングで押しつける力は 青に対しても赤に対しても「同じ」なわけです。 ベルトは、青側と赤側で同じ摩擦力を持っていますので (接する面の材質が同じで圧力が同じ) その摩擦力を越えない限り、 青・赤プーリーを動かすことが出来ます。 ここで、青側面だけを考えてみましょう。 例えば、走行抵抗がかかり青に負荷がかかったとして、 摩擦力を越えた場合どうなるか? そうです。ベルトに滑ってもらうしかないですね。 その時に、赤側面ではどうなるでしょうか? ピンと溝の制限はありますが、 赤側には直接走行抵抗がかかることはありません。 つまり、「滑らせようとする力」は (滑ってしまう可能性) 必ず「青の方が大きい」のです。 |
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上で出てきた写真を、今までの説明に合わせて回転させました。 それを図に直すと、下の図になります。 このあとは、この図で説明します。 |
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まず、始動状態から加速にうつると 青のフェイスには、 タイア・ギアを介して 負荷(回りたくない(^^;力)がかかっていますから ベルトのスリップがある程度存在する状態で 摩擦力によって回転させられます。 赤の側は、ピンによって動きが制限されてしまうので 回転方向と逆向きにかかる負荷は青と同じようにかかります。 よって、青と赤は同じ様な負荷がかかった状態で 同じ量のスリップを伴いながら ベルトによって回転させられます。 **ベルトと接するフェイス部分に 既にスリップが存在するからです。 |
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ある程度スピードが上がっていくと 負荷は初期に比べて少なくなっていきす。 (しかし、無くなるわけではない) すると、回転する青、赤にとっては スリップも少なくて嬉しいのですが 今度は前のプーリーでウェイトローラーに遠心力がかかってきて ベルトを移動し始めます。 この時、青・赤からしてみれば ベルトをスリップさせて内側に移動させてやらないといけないのですが 青は当然動けません。 そこで、赤がスリップすることによって 徐々にベルトを移動させるのです。 (図の状態で)赤側にしてみれば、 ベルトを内側に引っ張ろうとする力が強くなければ 自分がスリップする必要はなく青を置き去りにして ベルトと共に回転してしまえばいいわけです。 ここに、全ての変速に置いての力のバランスがあります。 このように考えると、 「コンプレッションスプリングは、ベルトを押し出そうとする力」 とは、ちょっと違うような気がしますね。 |
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さて、変速も終盤にかかり完全に変速が終了した状態になりました。 今までは、加速状態の変速を考えてきました。 しかし、実走行では 「高速ギア→低速ギア」もあり得るはずです。 これまで説明したとおり 「青側・赤側のベルトのスリップ量が殆ど同じ状態」で 「ウェイトの遠心力によりベルトが引っ張られる」 という2つの要素が達成されたから高速側に変速していました。 作業台(整備スタンド)の上で 軽いウェイトで変速していた理由は、上の2つのうち 「スリップ量」が少なかったからです。 つまり、この2つのうちどちらかのバランスを崩せば 低速側に変速することになるわけです。 具体的には、左の図から 「プーリーの回転が下がって遠心力が小さくなる」 もしくは 「青のフェイスのスリップ量が大きくなる」 と、低速側に変速することになります。 **スリップ量に差ができるということは 赤と青の回転差が出きるということで フェイス間の距離が変わると言うこと |
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まとめ 変速における力のバランスの大元は ウェイトローラーの遠心力 VS コンプレッションスプリング with 負荷 である |
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