ホリーたたみのレースリポート
98 Q!MARU SPECIAL CUP 第4戦 1998年11月3日
前回のスプリントそして耐久レースと、鈴木号の速さは圧倒的と言っても良いだろう。それは同時に
耐久性に関して厳しい「諸刃の剣」。しかし、堀籠にしてみれば負けるわけにはいかないのだ。
かといってマージンがないセッティングでは今後のレースに問題が残る。そこで、堀籠はついに決断
した。センタースプリングとクラッチリターンスプリングの変更。ここは堀籠はセッティングが大幅
に変わることを嫌って、手を着けていない部分だったのだ。そして、2年半使用したマフラーの交換。
以前使っていたオーバーサイズのピストンとシリンダー。なんと、前回のレースで新品に替えたピス
トンは既にスカートの中間部分までカーボンが付く吹き抜け状態だったのである。
前日のフリー走行では、夜の走行だったためタイアは滑りっぱなしの状態。しかし、キャブを絞った
タイムアタックセッティングで2秒台が出た。明日に向けて希望が持てる。鈴木も走行するが、タイ
ムは伸び悩んでいる。他のドライバーの状況としては、佐藤はピストン交換、上山は今年のF1のチャ
ンピオンマシン、マクラーレンカラーのサイドボックス仕様に変えてきた。
11月3日。朝に降った雨がまだ路面を濡らしていた。最初のフリー走行では、各マシンともタイム
が出ず、殆ど参考にならない。千葉が最後にトップタイムを出すがそれも8秒台である。堀籠は2番
手のタイムだが、加減速のセッティングを試していた。
タイムトライアルでは、ライン上は乾いているものの各車タイムが伸び悩む。
その中で、唯一2秒台にタイムを入れてきたのは堀籠。2番手には鈴木が来るが0.3秒の差がある。
フレームセッティングを中心に臨んだのは3番手の千葉。なんと7番手には石崎が付け、大坂は7秒
台で9番手。マシンの異常を訴える大場は8番手。あとで駆動系を見てみるとクラッチ側のベアリン
グが外れており、もう少し無理をしていたら大変な状態になっていただろう。
堀籠は余裕を持ってキャブセッティング。タイムボードを見て「薄い」TTセッティングをせずにセ
ッションを終了した。
予選ヒートは、スタート後大混乱になった。TTで遅れをとった2番手の鈴木が若干薄いセッティン
グでスタートしたがこれが加速せず、2番グリッド以降のマシンが混乱。その隙に2番手に上がった
のは8番手スタートの大場。これで、トップの堀籠は楽な状態になった。鈴木は、後方から鬼神の追
い上げを図るが、11周目になんと前回同様エンジントラブル。2番手には千葉が付け、3番手には
ウェイトローラーのセッティングでミスったにもかかわらず、ささき恵一が付けた。しかし、2秒台
から3秒台までにはトップの堀籠、千葉、鈴木。決勝はこの3台の争いになるだろう。
決勝ヒートは、予選で最後方スタートになった鈴木が圧倒的スピードで各マシンをパスしてくる。
2番手に上がったささき恵一もライトを点灯させて走行を続けるが堀籠との差は広がるばかり。逆に
3位の千葉がささきに襲いかかる。そして、ついに鈴木が2番手に上がる。しかし、堀籠はペースを
緩めて後方を確認しながらの走行。そのままチェッカー。
ひさしぷりにSUGOにブラジル国旗がはためいた。
ホリーたたみ のインタピュー
「今回は、セッティング的にはギャンブルだったと思うよ。だって、今まで使ったことのないパーツ
を3つも使ったからね。でも、前日の走行で良いタイムが出ていたから、順位の心配はしていなか
ったよ。ただ、僕のマシンはスズのマシンより速かったから、僕もいつ壊れるか心配で、少しの振
動もでも怖かったんだ。でも、結局はなんとかなってハッピーさ。」
ホリーたたみ の記録
94年 スプリント 3戦0勝(最高2位)
95年 スプリント 6戦3勝 耐久4戦0勝(最高2位)
96年 スプリント 6戦6勝 耐久1戦1勝
97年 スプリント 3戦1勝 耐久1戦0勝(2位) アトム 2戦1勝
98年 スプリント 4戦2勝 耐久1戦0勝(2位) アトム 1戦0勝
19戦連続表彰台
マイカートスプリント 22戦12勝