エンジン全般について
とにかく、フリクションロス(抵抗)が無くなるように努力してください。
組上げの時やピストン・シリンダーメンテナンスの時に特に重要なのはシリンダーの締め付けです。出来れば車体を「立てた状態」で「セルを回しながら」スタッドボルトを締めてください。ピストンの中心が出ますよ。
また、シリンダーヘッドやピストンヘッドのカーボンはこまめに落とすようにしましょう。プレイグニッション(プラグが火花をとばす前に着火してしまうこと)の原因になります。ただし、あんまり力任せにやってしまうとシリンダーヘッドは傷が付きやすいので注意が必要です。
レースの主催者によっては「研磨」と取られる可能性もあります。マニュアルどうりに「スクレッパ」とか「古いピストンリング」なんてもってのほかです!!。
オーバーサイズピストンを組まれる方へ… これは覚悟してくださいね。
私も一時ボアアップのつもりでやってみましたがあまりいい結果は出ませんでした。理由として想像していることはポートの形状が変わってしまうことと(斜めについているのでタイミングが変わる)、ピストン重量とクランクマスのバランスが狂うことが考えられます。
しかし、もしギャンブルをするのでしたら、シリンダーは0.5のボーリングをしてピストンは0.25のオーバーサイズを組んでみましょう。ピストンリングは0.5のものを使います。ただ、点火時期が変えられないので…。
ちなみに、これは「ノーマルクラス」でも通用するはずです。「オーバーサイズは0.5までの純正」が定義だったはず。
駆動系について
みなさんは、どのぐらいの頻度で部品交換をしているんでしょう?FK−9で「一番重要な部分」はここです。
もし、レースに出ている人でしたら毎回「プライマリフィクストシーブ(俗に言うプーリー)」と「ベルト」は交換してください。
もし、あなたの周りの人がやっていないとすればあなたは今より「2割速い車」を手にすることが出来ます。
新車が速い理由はこの部品だけの理由と言っても過言ではありません。
駆動系各部品はこちらjpeg 92KBを参照してください。
エキスパートクラスの方はこちらへどうぞ…って、焦らずに進みましょう。。。
エアクリーナーについて
エアクリーナーのエレメントははずしてもいいことになっていますがこれはほとんど効果がないです。というのは、あの形状からは殆ど吸入効率は変わらず、さらに排気系がそのままではあまり変化が無いからです。
では、ノイズボックス(レーシングカート用のエアクリーナーボックス)の場合はどうでしょうか。これが大変効果が上がります。どちらかというと、インテークチャンバーの様な効果があるのです。この形状は様々なので自分で試して下さい。当然キャブセッティングも変わってきます。
ただ、「小さいことの積み重ねでパワーを…」と考えている方はエンジンやキャブレーターのメンテナンスはしっかりやってください。また、雨のレースの場合は必ずエレメントを入れて「あまりふさがない工夫」が必要になります。私は、1リッターのペットボトルをくりぬいてかぶせるようにしております。
マフラーについて
これはとにかく1年に1回は換えてください。2ストロークエンジンはその構造上排気に不純物が多く混じっています。これがマフラーを詰まらせ、排気効率を悪くしています。エアクリーナーのところでも説明しましたが入ったものは出ていかなければなりません。特に中古で買った方はエンジンのオーバーホールより駆動系を新品にしてマフラー交換した方が確実に速くなります。
キャブセッティングについて
これは、FK−9に限って言えば結構許容範囲が広いようです。私のFL仙台時代のセッティングは「HI45分・LO50分」でした。今では、ノイズボックスのせいで大分変わっています。
キャブレーターの役目は真ん中の穴を空気が通過するときに燃料を引き出し、混合気を作ることにあります。また、クランク室の負圧を利用してガソリンタンクから燃料を引っ張る事もしています。
吸入される空気にガソリンを含ませる割合は、HI.LOニードルで決定しています。ただ、そこでHIとLOの役割の違いが出てきます。HIは「高速用」と考えられていますがそれは間違いです。空気の通り道を十分確保して、大量の高速の空気が流れ込んだ時、はじめて燃料が引き出されるようになっています。(難しいかな?)つまり、車速は遅くとも高回転の場合は空気の流速は速いので十分に調整の必要があります。
「薄い方が高回転で・・・」と言いますから、どうしても「高速側では薄い方がいいんだ」と考えがちで、LOからHIに切り替わって、LOよりも少ない燃料になっているような錯覚をしますが、そうではありません。
それでは、LOの役割は?これは、元になる燃料流量を決定しています。高回転になって、足りない分をHIで補っているので低回転域を犠牲にすればHIは全閉でLOだけでも充分走ります。とくに、FK−9は低回転ではクラッチはすべっていますので…・・試しに「HI 0分・LO 90分」にしてみてください。ほら、大丈夫でしょ?
具体的なセッティング方法は、必ず「走って負荷をかけた状態で調整」するのが基本です。
よく、作業台に載せて「1万回転ぐらい」まで回している人がいますが、これは全くの無駄です。薄くしていけば最高回転数は上がりますから…。大切なのは、パワーバンド内で(これも、セッティングでパワーバンドを外れていたら意味がないです)力強く、素早く回転が上がることです。1万回転は必要のない回転域です。
どうしても、レース当日などの時間がない場合はタイヤを浮かした状態で「4000rpmの状態からアクセルをあおって8000rpmまでなめらかに素早く回る」ように調整します。音で表すなら「ウワァン」ではなくて「ウァン」というように一気に行くのが理想です。この状態では必ず薄いので、そこから5分だけHIとLOを濃くします。これで何とかなるでしょう。だから、走行中以外でもタコメーターは絶対に必要です。
プラグについて
マニュアルを見ると標準はBPR7〜となっていますが、7番はあくまでも標準です。プラグは適正温度が必要で番号が小さいほど高温になりやすいです。つまり、気温が低い日は速く適正温度にしたいので6番などを使います。逆に夏などの暑い日や耐久レースなどでは8番を用意します。
また、長いプラグを使うときもあります。例えばB9〜のようなものです。つまり、このねらいは燃焼室の容積を小さくして圧縮率を上げようというものです。バイクパーツのハイコンプピストンと考え方は同じです。
BPR7に相当する番手(熱価)はB9のようです。
しかし、問題もあります。一つはシリンダーの長さや、コンロッドの長さが微妙に違うのでピストンヘッドに当たる可能性があることです。ぶつかるとダメージはさほどでなくともプラグがブリッジしてしまい火花が飛ばなくなります。また、燃焼室の空気の流れが変わるので燃焼や排気がよいとはいえません。圧縮が高くなりすぎると混合気の温度が極端に高くなるのでノッキング(本当はプレイグニッション)の可能性も出てきます。SV比も悪くなります。(燃焼室の面積がプラグの分大きくなるので熱としてパワーが逃げやすい)
ただ、いろいろ試してみる価値はあると思います。一番気をつけなければならないのは「番号による温度管理」ですからね。
注意!!
某社のアダプター付きのプラグは「プラグ交換」と見なされない場合があります。
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