FK−9の駆動系
ここは、みなさん一番知りたいところだと思います。それで、難しい部分がたくさん出てきますので一度こちらに行って部品構成図を取ってきてください(ブラウザの「ファイル」の「名前を付けて保存」)。そして、どこかに表示させていると便利です。
FK−9の変速機構はスクーターの物と同じです。まず、エンジンからの出力は16のプライマリフィクストシーブに伝わります。そして、Vベルトに伝わり、12のセカンダリフィクストシーブに伝わり3のクラッチに伝わり2のクラッチハウジングに伝わり、スプロケットに行くギヤに伝わっています。
ここで、誤解しやすいのは「プーリー(19プライマリスライディングシーブ)そのものは、動力伝達はしていない」と言う点です。
変速は、二つのプーリー間のベルトの位置で、直径が変わることに依る回転比の変化です。ウェイトローラーが遠心力によって外に出ようとして19をベルト側に押し出します。すると、プライマリー側の直径が大きくなり、同時にセカンダリ側の直径が小さくなることになります。以下に、状態を追って解説します。

以下で言うドライブフェイスはプライマリフィクストシーブ、プーリーとはプライマリスライディングシーブのことです。そのほかも適宜読み替えてください。

エンジンをスタートして、ある程度の回転数になるまでクラッチが離れているので駆動力は伝わらないアイドリングとなります。

アクセルを踏み込むと少しずつエンジンの回転が上がりクラッチが遠心力によって広がりはじめアウターに接触して駆動力が伝わり始めます。

ウェイトローラーにも遠心力が生まれだんだん外側に移動を始めます。

さらに回転が上がると、ウェイトローラーがプーリーを押しだしベルトを外側へと移動させ始めます。加速状態ではこの状態がベストです。

そして、最後にはベルトを完全に押し出して、後はエンジンの回転数の上昇に伴って加速します。


上の解説である程度は理解できたと思いますが、つまり、ウェイトローラーが重いほど「遠心力が大きく」なり、低い回転数から変速が始まってしまいます。
また、その遠心力とバランスを取っている物にコンプレッションスプリングがあります。
コンプレッションスプリングが強いとセカンダリ側のプーリーが強く押しつけられますので変速が高回転側に移動します。

さて、その変速する回転数はいったいどのあたりがベストなのでしょう?
そこで、前出のエンジン性能曲線図が必要になりますが、7000rpm位を目安に、ウェイトローラーの重量を決めるのです。
ただし、ここまでの理解では「普通の理解」です。 問題は、これだけではないのです
もう一度駆動系部品構成図を見てください。 11のガイドピンというのがわかりますか?それは9のセカンダリスライディングシーブの溝にはまります。
もし、負荷が(ブレーキや体重などの重量)掛かった場合、12のセカンダリフィクストシーブに伝わりますがベルトはお構いなしに「回そう」とします。そのとき、セカンダリの方をベルトが引っ張ってしまい、ガイドの溝にあわせて動くとセカンダリのプーリーが狭くなってベルトが持ち上がり「低速ギアに変速」するのです。
さらに、その移動に輪をかけるのがベルトという性質です。
ベルトが引っ張る場合、上側の引っ張りは有っても、下側は別に引っ張られているわけではありません。
「引っ張られる」=「距離を短くしようとする」わけです。だからプーリーの内側にベルトが入っていく・・・わけですね。

確かめてみたい場合は、作業台に載せて、ケースをはずした状態で、タコメーターをつけてベルトが高速側に移動しきる回転数を調べてください(無負荷に近い)。
次にブレーキを少し掛けて同様なことをやってください。さっきより高い回転数が必要になるのがわかると思います。ですから、同じウェイトローラーの重さというのは全然意味のないことになりますね。

レースにおいて、私がブレーキ引きずり走法をやっていた理由はまさにここにあります。
つまり、アクセルオフで回転数低下によってシフトダウンさせるのではなくて、積極的に負荷を与えて「回転数をコントロール」しつつシフトダウンをしていたので、加速が速かったのです。

よく、アクセルオフコーナーリングをFK−9走法と言いますが、はっきり言ってこれは間違いです。確実に私より遅くなります。(大きく出てしまった・・)

もっと詳しく知りたい人はこちら



質問などは会議室へどうぞ